もう溢れてしまっている涙の素は、

足の怪我の痛みなんかより心の痛みのほうが数十倍も数百倍も大きかった。


牧は今、何を考えているだろう。

私への苛立ち?

憎しみ?

もしかして考えてすらいない?


勝手に少しでも心が打ち解けたと思ったのは、

私の勘違いだったのかもね。


涙は枯れぬまま、

家へと向かった。