「羅々」

…っ。

嫌だ。

名前をこの人にだけは呼ばれたくない。

私を呼んだのに、いつまでも返事をしない私に先生が痺れを切らしてもう一度、「羅々」と呼んだ。

呼ばれたら

そんな優しい声で呼ばれたら気づいてしまう。

「はい…」

私が、仕方なく先生の方を振り返るとそこには、

「…っ!」

先生のドアップ。

私が、あまりの出来事に固まっていると、先生はそれに気づいているのかいないのか、さらに顔を近づけて言った。


「…羅々。先生の事嫌いなの?」

「…別に、普通です。」

「じゃあ何で顔逸らすの」

「…近いから「それだけじゃ、無いくせに。」



「それだけです。」

勝手にうごく心臓を抑えながら。

か細くそう言うと。