私が目を醒ますとそこは、知らない車の中だった。

誰も居ない車内。

外も見たことの無い景色。

ボーッとしていた景色は、徐々に色見を増して。


…え

何ここ?

私、教室にいたはず…

…え、ええ?

どこ、ここ?

まずは家族と連絡を…

私は、自分のケータイを制服のポケットから出した。

画面を開いたその時。

ガチャッ

「…ッ」

私が座っている横の運転席のドアが開いた。

私が恐る恐るドアの方を見ると。

「あれ…起きたの」

呑気な声。

左手に握られた2つの缶。

1つは、ブラックコーヒーで、もう1つはココア。

「…せ、先生…」

そこに立っていたのは、優しい笑顔を向けた先生だった。

そんな先生を見ながら。

って、事は、この車は…先生の車?

黒いボディに黒いソファー…

先生のイメージにピッタリと合う。

…いや。

そんな事はどうでも良くて。

何で私ここにいるんだろう。