優希が、羅々の手を握った。

それだけならまだしも、自分の目の前で手を繋いだまま笑いあってる。

見ていられなくなって、パッと目を逸らす。

最悪だ。

俺は

あいつみたいに

素直に

なれない。

お互いの気持ちが

わかるのに、

行動に移せない。

そうこうしてるうちに、
あいつみたいなやつが
君を奪っていく。

俺の目の前から
君がいなくなっていく。

そのうちに

きっと

お互いが見えなくなって
お互いの気持ちもわからなくなって
お互いがお互いの事を思うたび苦しくなって
お互いがお互いの存在を他の誰かで上書きして
傷を埋めようとするんだ。

そして
最後には
お互いじゃなくても良かった事に気付いてしまう。

そうなる事がわかっているのに。

今すぐ止めに行きたいのに。

君を
この手の中に
抱きしめたいのに。

「…っくそ…」

我慢するしかないんだ。