部屋に入るとそこはドアを開けて真ん前にある壁だけ一面鏡張りだった。

三浦君はすでにジャージ姿で立っていて、先生は淵っこの方の椅子に脚を組んで座っていたる。

私が三浦君の元に駆け足でよって行くとトオルさんは
「じゃあ、始めるわよ!まず始めはお互い向かい合って両方の手を握りなさい!」

…え?

手?

握る?

私が思わずフリーズすると、トオルさんは
「…何?無理なら私が変わってあげるわよ?」
と言った。

それに対して三浦君は
「勘弁して下さい…」
と言って控えめに私の方へ手を突き出した。

「…」

「まぁ、長谷川にとったら不本意かもしれないけどさ。俺は気にしないから。最初のステップなんだし、やろーぜ?」

その言葉に私は、おずおずと三浦君の一回りぐらい大きい手の上に自分の手を乗せた。

三浦君は私の手が自分の手の上に乗ったのを確認すると、ギュッと力強く握った。

「…っ」

そして満面の笑みで、
「頑張ろうな!」
と言った。



「…うんっ!」

私が笑うと、三浦君はまた嬉しそうに笑った。