しばらく待っていると、奥のスモークがかかったドアからゆっくりと人が出て来た。

先生がゆっくりと
「よろしくお願いします」
と言う。

その言葉に笑った人を見ると。

…かっこいいな。

色白で、少しタレ目で、鮮やかな茶色の髪に耳には控えめにピアスが付いている。

先生とはまた違ったタイプの格好良さだった。

だけど。

その人はゆっくりと先生に近づいていく。

先生は反対にゆるゆると後ろに下がっていった。

私と三浦君が、その様子を疑問に思っていると。

茶髪の人が先生にガバーッと抱きついた。

「え…」

私が思わずそう声を漏らすと、先生は焦った様に私の方を見ながら
「違う。勘違いしないでよ、羅々」
と一生懸命に引き剥がそうとするが全く離れない。

「っ、良い加減、離れてください!」

先生はそう言ってほぼ背負い投げする形でその人を剥がした。

するとその人はヨロヨロしながら、
「もぉー、相変わらずつれないわねぇー♡」
と言った。