先生が車を止めたのは今まできた事も無い、いかにもやり手の会社ですって感じの高層ビルだった。

先生はそのビルの地下に車を止めると、おいで、と言って私達より先に外に出た。

先生は私達が車から降りるのを確認すると、見えていたエレベーターまで歩いて行く。

私達もそれに続いて行くと、先生は上向きの矢印のボタンを押した。

しばらくして来たエレベーターに乗ると先生はすぐにドアを閉めて、30あるうちの24というボタンを押した。

先生はそこでゆっくりと私達に向き直って、
「いろいろとすごいから、覚悟しときなよ。」
と言った。

…“いろいろとすごい”?

思わず三浦君と顔を見合わせると、先生は面白そうにクスッと笑った。

チンっという音がして扉がゆっくりと開いた。

先生に続いてエレベーターから出ると、上品な家具がそろっている部屋の中がよく見える透明なドアがあった。

先生はゆっくりとそのドアを開いて中に入った。

先生はゆっくりと辺りを見回して、御用の方はこのボタンを押してください、と書いてあるボタンをポチッとおした。

先生が短かくため息を吐いた。