「あ、そーいえば橘。これお前が読みたいって言ってたやつ。家にあったから持ってきた」
少し笑いながら私に本を手渡す。
「…これ白井さんの小説じゃん………ありがと」
「おー」
「………」
沈黙が図書館を包む。私はこの雰囲気が結構好きだ。
っていうか!本借りちゃったよ!こないだ話してたやつじゃん!超うれしす!こういうとこが好きなんだよなぁ…
返すときお菓子でもあげようかなあ…べたすぎるか…
いろいろ考えていると中野が沈黙を破った。
「よーーし。完了ーおつかれー」
考え事しすぎてとこかの世界に行っていたらしい私はいきなり現実に戻された。
「え!あ…あぁおつかれ。」
「ん。じゃあ」
「またね」
中野と別れて下駄箱に向かった。
………お弁当箱忘れてた。やっぱ慣れないことするのはよくないなあ…