遅くはないと言われて、それで済まさなければならない現状が悔しかった。
けれどこれ以上永山さんを責め続けても、ますます自分を惨めにさせるだけだ。
ぼくは、ふたつの通知書を見比べた。
これによく似た紙切れ1枚で始まった兄の戦いは、こんな薄っぺらな公報1枚で終わりを告げた。
人生とは所詮、こんなものなのか。
だとしたら、ぼくの運命の行き着く先は、今見えた。
「だからって、だからって、どうして今なんだ」
ぼくは、言っても仕方のないことを、また繰り返した。
「自分には、おめでとうございますとしか言えません」
永山さんが、消え入りそうな声で言った。
そう言えと役場に教育されているのだろう。
いや、そうでなくとも自然に口から出てくるのかもしれない。
そういう世の中なのだから。