そんな2人の視線が腹立たしい鷹雅は、ギャアギャアと喚きたてる。

そこに割って入った声があった。

「馬鹿ねぇ、ハゲくらい何だっていうのよ。そんなのはただのチャームポイント。騒ぐほどのものじゃないわよぅ」

シャラララン、という効果音とともにそう言うのは、花音専属執事南原であった。

壁際に立っていた彼は、長い黒髪をさらりと耳の後ろに流しながら鷹雅を見ている。

「……ちゃーむ、ぽいんと?」

鷹雅もサラサラの黒髪を揺らしながら首を傾げる。

「そうよー。ねぇ、知ってるー? 日本ほどハゲに厳しい国はないのよー? どうしても気になるんだったら、いっそのことイタリアにでも行ってみたらー?」

「伊太利亜だと?」

「イタリアの女性の70%は、『ハゲの方が魅力的』って答えているのよ~。素敵な国よ~?」

「な……なにいぃ、それは本当かっ!?」

鷹雅、南原の話に思い切り食いつく。