「別に、どこも痛くねーよ」

「でも、あの……」

拓斗は言い淀み、花音と視線を合わせた。

そして。

２人は鷹雅の座っているベッドの下にちょこんと正座をすると、同時に頭を下げた。

「鷹雅くん、ごめんなさい！」

見事にハモりながら、２人は鷹雅に謝罪する。

「別に気にすんなよ。事故のことは俺が悪かったんだ……」

「でもその頭は！」

２人は同時に顔を上げ、申し訳なさそうに鷹雅の頭のてっぺんを見た。

「それは事故のせいだよね？　橘の総力を結して、きっと腕の良い医療スタッフとカツラ職人を見つけてくるから！」

「鷹雅くん、安心していいんだぴょん！　もし髪の毛が駄目でも、花音ちゃんがかわいいリボンとウサ耳カチューシャ作ってくれるから、それで隠したらいいんだぴょん！　ぜったいかわいくなるぴょん！」

真剣な目でそう語る２人に、鷹雅はやっと彼らが何の話をしているのかに気づいた。

事故のときに吹き飛んだのか、ハゲ隠し頭襟が頭上から消えていた。

「うっせーよ、余計なお世話だよ！　これは生まれつきだボケェエェエエッ！」

そう叫ぶと、２人はまんまるな目をぱちくりとさせ、更に憐れみの濃い色を浮かべた。