「あ? ……ああ、そうか。あの車、お前の兄貴のだったのか。兄貴、大丈夫だったかよ」

聞きながら、そういえば先程、『お兄ちゃんも怪我はないって』と言っていた花音の言葉を思い出す。

「兄さんは大丈夫だよ。君は?」

思った通りの返答があり、鷹雅は内心ほっとした。

「あれくらい、どうってことねぇよ。……悪かったな、兄貴巻き込んで」

起き上がり、前髪をかき上げながらそう言うと、なにか柔らかなものが身体中からごろごろと転がり落ちていった。

白やらピンクやら青やら黄色やらチェックやら……色んな柄や大きさの、ウサギのぬいぐるみたちだ。

身体を包み込むふわふわであたたかなものは、このぬいぐるみたちだったらしい。

「金田一くんや大河原君、それに西郷くんたちに、いたいのいたいの飛んでいけーって、してもらってたぴょん」

随分とごつい名前だ。愛くるしい顔をしたウサギなのに。

鷹雅の周りを埋め尽くすウサギのひとつを手に取り、眉間に皺を寄せながら眺めていると、五所川原の腕が目の前でぴょこぴょこ揺れた。

「鷹雅くん、鷹雅くん、頭は痛くないぴょん?」