東城とともに昇降口前に取り残された花音と雪菜は、しばらく拓斗の怒りオーラに圧倒され、無言のときを過ごした。
そして彼の後姿が闇の中に消えていった頃、ようやく我に返った。
「大変、花音ちゃん! 拓斗君、きっと誤解してるんですよぅ!」
「えっ、誤解?」
「花音ちゃんが男の人に意地悪されたんだと思ってるんですー!」
「え、違うよっ!?」
「だから早く止めに行かないと!」
右手で上前を押さえながら、雪菜は走り出す。
花音も五所川原を抱きながら、ぽてぽてと走り出した。
それを東城が大股で歩きながら追いかける。
そして家庭科室では。
巣にかかる蝶を待ち構える蜘蛛のごとき女が、真新しい『アタシの目の保養コレクション』を眺め、ぐふぐふと笑みを零していた──。
◆ ◆ ◆
そして彼の後姿が闇の中に消えていった頃、ようやく我に返った。
「大変、花音ちゃん! 拓斗君、きっと誤解してるんですよぅ!」
「えっ、誤解?」
「花音ちゃんが男の人に意地悪されたんだと思ってるんですー!」
「え、違うよっ!?」
「だから早く止めに行かないと!」
右手で上前を押さえながら、雪菜は走り出す。
花音も五所川原を抱きながら、ぽてぽてと走り出した。
それを東城が大股で歩きながら追いかける。
そして家庭科室では。
巣にかかる蝶を待ち構える蜘蛛のごとき女が、真新しい『アタシの目の保養コレクション』を眺め、ぐふぐふと笑みを零していた──。
◆ ◆ ◆