「素敵だよねぇ……」

えへへ、と頬を染めてカップルたちを眺める花音を見て、鷹雅もそんなものなのか……と、ちょっと洗脳されてきた。

「……分かったよ、アイツがまだいたらな」

「うん、頑張れぇ~」

花音はいつものように五所川原の腕で鷹雅の肩を叩こうと、巨大ウサギぬいぐるみを持ち上げた。

すると。

ゴロゴロゴロと、穴の開いた腹から何やら落ちてきた。

見れば、500mlペットボトルに入った水や缶に入った乾パン、小さなLEDライト、防寒用エマージェンシーシート、救急セット、ホイッスル、その他もろもろが廊下に転がっていた。

(……防災グッズ!?)

鷹雅、口をあんぐりと開ける。

「あー、えへへぇ、この間、拓ちゃん待ってたら夜になっちゃって、いっぱい心配かけて叱られちゃったのー。それで、お兄ちゃんと拓ちゃんがこれを持っていなさい、って……」

五所川原はチャックを開けると、背負えるようにも改造されていた。

「……なんつーか、お前の兄貴たちがすげーよ」

鷹雅、胡乱な目。