「……鷹雅くんは分かってないぴょん」

花音の色の良い頬が、ぷくーっと膨れた。

「好きな人とは、いつも一緒にいたいんだよおっ。家まで送ってもらえたら嬉しいんだよおっ。ちょっとの距離でも手を繋いでらんらんらん~したいんだよおっ」

「らんらんらんはねぇだろ」

ビシイッと突っ込みながらも、鷹雅はふむ、と考える。

「あのよー。……人間の女ってのは、そんなのがいいのかよ」

「人間じゃなくても、女の子ならみんなそうだよ。……そうだ、鷹雅くん、遊里ちゃんと一緒の傘で帰るといいよ。遊里ちゃん、喜ぶよぉ~」

「あ? ……ちょ、ちょっと待て、それじゃ『相合傘』ってヤツになるだろうが! 黒板の日直の名前にする悪戯の定番、ハートマークまで書かれる恥ずかしいヤツだろ!」

いつの時代の話だ、鷹雅。

「んな恥ずかしいこと出来るかああ~!」

「別に恥ずかしくないよぉ」

ほら、と花音は外を指差す。

ロシア娘と眼鏡男子、スペシャルハレンチに色白男子、他にもたくさんのカップルたちが、仲良さそうに相合傘で帰っている。