「……そうですね、逢いたいです。でも」
くるりと振り返り、小岩井と向かい合う。
「今は、逢わないでおこうと思います」
何故、と問う小岩井の視線に、雪菜は少しだけ困ったような顔をする。
「理由はうまく言えないんです。でも……母はきっと、そうすることが私にとって一番いい選択だと判断したんじゃないかって。そう思い始めたのはつい最近なんですけれど」
ろくに戦えない未熟な自分が、何かあったときに母の足手纏いになることは自覚していたし、いつまでも甘えてはいられない、いつかは自立しなければ、とは思っていた。
けれどもあんなに急に家を追い出されるとは思っていなくて。母に対する不満も少なからずあった。ほんの少し、怒りを覚えたりもした。
それと同時に、何かあったのではないかと、ずっと考えていた。
厳しい母だけれど。
時折、冷酷な一面を見せたりする母だけれど。
雪菜にはとても温かい目を向けてくれる人だと。深い愛情を持ってくれていると、そう感じていた。
そんな母が、横暴とも言える態度で雪菜を追い出した理由は──。
考えて、考えて。辿り着く答えは、いつも同じ。
きっと、自分を護るためなのだ、と。
くるりと振り返り、小岩井と向かい合う。
「今は、逢わないでおこうと思います」
何故、と問う小岩井の視線に、雪菜は少しだけ困ったような顔をする。
「理由はうまく言えないんです。でも……母はきっと、そうすることが私にとって一番いい選択だと判断したんじゃないかって。そう思い始めたのはつい最近なんですけれど」
ろくに戦えない未熟な自分が、何かあったときに母の足手纏いになることは自覚していたし、いつまでも甘えてはいられない、いつかは自立しなければ、とは思っていた。
けれどもあんなに急に家を追い出されるとは思っていなくて。母に対する不満も少なからずあった。ほんの少し、怒りを覚えたりもした。
それと同時に、何かあったのではないかと、ずっと考えていた。
厳しい母だけれど。
時折、冷酷な一面を見せたりする母だけれど。
雪菜にはとても温かい目を向けてくれる人だと。深い愛情を持ってくれていると、そう感じていた。
そんな母が、横暴とも言える態度で雪菜を追い出した理由は──。
考えて、考えて。辿り着く答えは、いつも同じ。
きっと、自分を護るためなのだ、と。