亜美の質問に、陸部の道具入れを見ていた先生が中から取り出したもの、

それは…



「おっ、ちょうどここにストップウォッチあるじゃん。
じゃあ…

5分な」



「…はっ!?」


『いやムリでしょ?!せめて8分くらい!』



今いる職員室の入口は、グラウンドの端っこ。


グラウンドを四角形に見立てたら、
四隅の角にあたる部分。


陸部の部室は、
グラウンドの反対側の端っこにある。


こっちも四角形でいうと四隅の角。


…つまりグラウンドを対角線上に真っ直ぐ突っ切って行かなきゃいけない。


遠い…。



「いや陸部なら大丈夫だろ?
いくぞー。

よーい…

 『はっ!?ちょっと待っ…

スタート!」

「…っ行くしかないよ愛璃!」



――ダッ……!!



『もー!
なんでうちら部活終わったのに走ってんだろ!
でも間に合わなかったら、負けたみたいでなんかイヤ!』


「だよね…!
意地でも5分以内に帰って来てやろう!」



私と亜美は、
叫ぶように会話しながら走って。

部室の場所に辿り着いた。