「アスタロトは…彼女はただ羨ましかったのよ…」



「右京様が?」



「違うわ…私が、よ。」



その先を口にしなかったが潤には忍の言わんとしている事が解ってしまった。



アスタロトは、右京の…ベルセルクの子を宿した忍を妬み、彼女を狙っている。



「ただの思い過ごしでは?」



「ならいいんだけど…変な夢を見たのよ…」



忍はテーブルのミルクティーをストローで混ぜながら、小さい声でポツリと呟く。



「脳内に入り込んでくるような…上手く言えないんだけど、心の中をいじられるような嫌な感じだった。」



「それは奇妙ですね…。右京様はその事を知ってるんですか?」



「あの人が気付かない訳ないわよ…」



だから今も忙しなく動き回っているのだと、忍には理解できた。