「やっぱり“アスタロト”が関係してるの?」



彼女の問いにどう答えるべきか潤は考える。



“NO”と真実を曲げても彼女は信じないだろう。



…では“YES”と頷くべきか…。



だが、その時きっと彼女は哀しそうな瞳をするだろう事は容易に想像できた。



潤はホットコーヒーを啜りながら「さぁ…」と曖昧に答えた。



主の妻である忍は潤の反応など気にも留めず喋り続ける。



「考えたんだけど、アスタロトは多分右京を恨んでるって訳じゃない気がするのよ…。」



「ほぅ…」



「どっちかって言うと、恨みとかじゃなくて…妬みじゃないかな…」



「…ワタクシにはどちらも大差ない気がしますが…」



無関心を装いそう言う潤に忍は「全然違うわよ」と少し身を乗り出す。