右京は携帯を耳に当てながらゆっくりと廊下を歩く。



『…見つけたぞ。…でも“核”かどうか…』



『場所は?』



『最上階の1105だ。』



電話の向こうでニックはブツブツと何かを言いながら考えているらしい。



右京の見つけたのは不自然に置かれた水晶だった。



沖田しのぶの話では、以前は客室ではなくロビーに置いていた物らしい。



それが最近になってVIPルームに配置されるようになったが、誰の指示かは判らなかった。



『で、思い出したんだよ。アダムの部屋にも同じ水晶があった。…おそらく他の部屋にもあるだろう。』



『…って事は…配置からして…一階にもないか確認してくれ。』



右京は『OK』と答えて会話を終わらせると、ポケットに手を突っ込んだままエレベーターが降りて来るのを待つ。