田所はゲストと打ち合わせを済ませ、タバコを手に喫煙室の扉を開けた。



目の前に思いっきり不機嫌な顔をしたしのぶが睨んでいる事に気付き、ライターを付ける手を止めた。



「………」



「………」



「……なんだよ…」



「なんだよじゃないわよ!あんた、私がどんなに大変だったか聞かないわけ!?」



「…いや、いい。」



「聞きなさいよ!」



田所はしのぶに腕を掴まれ、左右に激しく揺さぶられる。



「お、おい…!火が…あぶっ…!?」



彼は「わかったから放せ!」と、しのぶの手を振りほどきため息を付いた。



やっと火の付いたタバコをくわえ、煙を吐き出すと傍にあった椅子に腰を下ろした。