部屋の造りは彼等の部屋である710と大差ない。



違いと言えばスイートかツインかという点と、間取りが対称というだけだった。



「…違うな…。次の部屋、見せてくれる?」



「はぁ…」



右京は部屋をチェックするでもなく、ざっと見渡しただけだった。



807の施錠を外し、先程同様に彼を促す。



そしてまた、右京は「違う」と呟いた。



…何が違うのか…。



気になって「あの…」と開き掛けた口を接ぐむ。



田所から「絶対に理由を聞くな」と言われた事を思い出したからだ。



なんとなく自分が田所の言いなりな気がして面白くないが、彼がこれで納得してくれればお役御免である。



が、右京の言葉にしのぶは唖然とする。



「じゃ、次の部屋に移ろう。」



「……あの、どの部屋を言ってるんですか?」



「このホテルの他の空き部屋だよ。」



涼しい顔をしてサラッと言い放つ右京に、思わずしのぶはひきつった笑みを浮かべた。