「君、面白いね。田所さんが夢中なのも解る気がするよ。」



「彼が?…それは何かの間違えです。彼と私は…結局は上手くいきっこないですから…」



「なんで?」



「住む世界が違うんですよ。」



「住む世界…か。」



エレベーターは8階に到着し、しのぶは「こちらです」と彼を先導した。



…にしても、何故黒崎様は他の客室が見たいのかしら…。



田所は「何も聞くな」の一点張りで理由すら教えてくれない。



もしかしたら、宿泊してる部屋が気に入らなかったのかもしれない。



「この階の空き部屋はこの801と807だけです。」



しのぶは施錠を外してどうぞと右京を促した。