だが、どう見ても魔方陣には程遠い。



ニックにそのデータを送ると彼も低く唸るような声を吐いて、無言になった。



『さっき花瓶を撤去したって言ったが、本当に全部撤去したのか?』



『少なくともこの階のは…』



『それじゃ意味がないとしたら…見方を変えよう。』



『見方を…?』



『“上”じゃなくて“横”から見るのさ。』



魔方陣で重要なのは配置だ。



それは平面的なものに限らず、立体的にも可能だとニックは言う。



『立体魔方陣はその構造が複雑な分、見つけ出すのも難しい。早いとこそこから離れるべきだと思うぜ?』



確かにニックの言う通り、それが最良かもしれない。



…けど、ここを離れたとしても必ずまた追って来る。



『俺は…逃げない。』



『…そう言うと思ったよ。立体魔方陣は何重にも魔方陣が折り重なってるんだ。だが、“核”が存在する。』



…“核”…。



『魔方陣の“核”を崩さないと意味がない。』



『だが、“核”さえ崩せば…だろ?』



右京の言葉にニックが笑ったような気がした。