黒だろうが白だろうが、一般的にはどちらも同じ魔術に変わりはない。



その定義は、意志に応じて変化を生ぜしめる学にして術である。



つまり、黒魔術であるなら必ず“術”が存在するはずだとニックは考えた。



『魔方陣の類いが絶対近くにあるはずだ。』



『いや、部屋なら捜索済みだけど、それらしいものは無かった。』



『本当に見落としはないか?見えない所に配置されてるかもしれない。』



『見えない所っつても…』



そこまで言って右京は『待てよ…』と人差し指をこめかみに当てる。



…目に見えない…魔方陣…。



『もしかしたら…配置かもしれない…』



『なんの?』



『花瓶だよ。』



その配置で魔方陣を形成していたとしたら…。



右京はラップトップPCを開き、ホテルの見取図と花瓶の位置を確認してみた。