部屋のベルが聞こえて右京は振り返った。



「アイスクリームが来たんじゃない?」



「えっちな事に使うアイスクリームか。」



忍は右京に枕をぶつけてクスクスと笑う。



扉の前には居たのは田所だった。



「ルームサービスをお持ちしました。」



「ありがとう。…あのさ、この花瓶片付けて。」



「花瓶…ですか?」



「そう。7階にある花瓶全部。」



「全部!?」



有無を言わせない右京の眼差しに田所は「…かしこまりました…」とため息を付いた。



「そういえば例の件ですが、“1107”でした。」



「“1107”…角部屋か…。ありがとう、助かったよ。」



「いえ。それより…」



田所はちょっと右京に顔を近付け、声を潜ませた。



「…このアイスクリーム…どうやって使うんです?」



右京はぷっと吹き出す。



そして、こっそり“それ”の使い方を伝授すると、酷く納得して帰っていくのだった。