丁度バスルームから出て来た忍が右京に気付き、「…なにしてるの?」と問いかけた。



右京は人差し指を挙げ、忍を黙らせるとゆっくり歩く。



…正面には…ベランダ…。



窓ガラスに自分姿が映る。



「…“鏡”…」



忍は右京の顔と窓ガラスを交互に見つめ、首を傾げた。



「忍。…ちょっとここに立ってみて。」



「うん?」



右京は彼女の頭から腹部へと視線を移す。



窓ガラスに映った忍の前に、花瓶が見えた。



「…花瓶…」



「…ねぇもういい?…何かお腹が張るんだ…」



「あぁ、いいよ。…大丈夫?」



「少し疲れただけよ。」


そう言って笑う忍をフワリと抱き上げ寝室へと連れて行くと、ベットにそっと下ろした。