…おかしい…。



右京は彼女がここに居たのには絶対に理由があると睨んでいた。



にも関わらず、それらしい痕跡が何もないのだ。



…ここじゃないのか?



そう考えてすぐに否定する。



…絶対に何か見逃してる。



ベットの上で足を組んで考える。



…もし、自分だったら?



ベルセルクの子供を手中に収める事が目的だとすれば、忍を操るのが一番手っ取り早い。



…何故それをしなかった?



右京達に直接手を下す事は自分との契約に反するからだ。



…直接…手を下さない方法は…?



ふと、田所の言葉が脳裏に浮かんだ。



“…気が付くと710号室の前に居るんです…”



「…部屋の…前に…」



右京は立ち上がり、入口に移動して真っ直ぐ目を向けた。