ポロポロと泣き出した忍をあやす様に右京はギュッと抱き締めた。



義母である静の言葉を思い出す。



“妊婦は情緒不安定だから…”



右京はなるほどと独り納得をすると、彼女の背中を撫でながら優しく囁いた。



「妊婦だろうが、そうじゃなかろうが、忍はいい女だよ。」



「…ホントにそう思ってんの?」



「思ってるよ。…だけどほら…その…腹がもう出始めてんじゃん?…怖いんだよ…」



自分の欲望を満たす為に彼女にリスクを背負わせるなんて考えられなかった。



「ぶっちゃけ今もかなり堪えてるよ…」



忍は右京の首に抱き着くと小さい声で囁く。



「…シて…」



右京は軽く目眩を感じてはぁ…と額に手を当てた。



「……俺の話ちゃんと聞いてた?」



「うん。…だから…優しくシて…大丈夫だから…」



「………」



忍の瞳が…唇が…首筋が…彼女の全てが誘惑する。