誰が“初夜”に新妻を抱くというのが当たり前の世の中にしたのだろうか?



右京は忍を抱くつもりは無かった。



というより、怖くて抱けないと言った方が正しい。



現に忍の妊娠発覚から一度もセックスをしていなかった。



時々彼女の何か言いたそうな視線を感じるが…。



それは今も例外ではなく、「おやすみ」と忍の額にキスをして瞼を無理矢理閉じる。



そう、“無理矢理”にだ。



目を開けてしまえば、そこにあるだろう潤んだ瞳に理性がぶっ飛びそうになるから…。



「…寝ちゃうの?」



「寝ちゃうよ。」



「…“初夜”なのに?」



どうして彼女は自分を煽るのだろうか。



右京はガバッと起き上がると忍に目を向けた。