「例えば…」とアスタロトは腕を組みながら人差し指を頬に当てた。



「…いきなり停電が起きたり…」



そう言い終わると同時に辺りの照明が突然落ち、数秒で非常用電源に切り替わる。



ホテルマンが慌ただしく右京達の前を横切って行った。



右京の驚く顔を見て彼女は満足そうに笑う。



「…お前…何を…!」



「ふふ…別に私は貴方さえ手に入ればそれでいいんだけど…あの方はどうしてもベルセルクの子供が欲しいらしいのよね。」



「ふざけるな!」



「…もし今…地震でも起きたらどうなるかしら…」



右京はアスタロトのしようとしている事をやっと理解した。



…狙いは忍だけじゃない…ここに居る人間全員…!



「俺が言いなりになると思ってるのか!?」



「どうかしら…やってみないと判らないわ…」



アスタロトはそう言って不敵に笑い続けた。