そして形の良い唇を開く。



「貴方がよくわからないわ。ねぇ…あの女の何がいいの?教えてよ…」



「断る。」



「冷たい男…」



右京の輪郭をなぞるように移動した指が顎から彼の唇に移動する。



彼がそれを鬱陶しそうに払うとアスタロトは口角を吊り上げて笑う。



「まぁ、いいわ。どの道貴方は私の物になるんだから…」



「なる訳ねぇだろ。」



「あら、そうかしら?」



…こいつ…何を考えてる?



アスタロトの余裕の表情が気になり、思考を読もうとするが何も見えない。



「俺の記憶が正しければ、手は出さないと約束したはずだろ?」



「ええ、手は出さないわよ?でも…いつ何が起こるか判らないもの。」



一瞬彼女の言ってる意味が理解出来ず右京は眉を寄せた。