手を伸ばせば届くほどの距離まで来ると、アスタロトは長い髪をかき上げ微笑む。



「会いたかったわ…ウリエル様…」



「…俺はウリエルじゃない。」



「そうね。…“右京”…だったかしら?」



警戒する右京に彼女は「…怖い顔…」と呟いた。



「でも、その表情…ゾクゾクしちゃう。」



「相変わらず頭がイカれてるらしいな。」



「あら、貴方よりはまともだと思うわよ?愚かな人間の女を娶るなんて…」



顔の前で手をヒラヒラとさせるアスタロトを右京は終始無表情で睨む。



そんな彼にお構い無しのアスタロトは、スッと細い指を伸ばし右京の頬に触れた。