コーヒーの香りさえも、ライトを思い出させる。


何もかもが――



「しっかりしろよ?」


ルイが、厳しい口調で言った。


「泣きたいのはライトだ」


「ルイ……」


「後悔だけはするな」



優しくあたしを抱きしめて、いつまでも傍にいてくれた。


あたしは自分のことばかりだった。

辛いのはライトだ。


そんな簡単なことも見失って――