確かに私は日常に退屈していた。
 それは確かだし、
 文句を言うつもりはない。
 しかし…
 非日常がここまで重なると…

   『めんどくさい!!』

 今、私の前にはそれぞれの表情をした3人がいる。目を見開いて驚くさや。じっとこちらの心を探るように見つめてくる長身の男。可愛らしくニコニコ笑っている小柄な男。

 「由良…何があったの!?」
 「というわけだ。わかったな。」
 「ねっいいでしょ?」

 なんでこんなことになったかと言うと、時は30分ほど前に遡る。

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「さやぁ~そういえば今日こそ泊めなさいよぉっ!!もう、今日ホントに家閉まってて困ってるんだからね!?ちょっと、聞いてるー?おーい、そこのお嬢さーん?」
「んー?なーにー?んふふ…」

 
 帰り道、さやが帰りに彼氏の部活に差し入れをしに行くとのことで、校門で待っていたんだけど…失敗した。彼氏の活躍を見たさやの乙女暴走が止まらず、この浮かれ様といったら…見れたものじゃない…。この乙女が!おかげでいまだ理性がどっか行ってる状態。私の話なんて聞いてない。


 話しかけるのを諦めて今日も輝の家に泊まらせてもらうことができるのだろうかと思案していると、電柱にぶつかってしまった。

「いったー…。なんて間抜けなんだろ…ていうかこんなとこに電柱あったっけ?」
「ないが。」
「そーだよね…なん…え…え!?」

 確かに電柱はなかった。
 しかし、とある物体がいた。
 私の苦手な…

「うぎゃぁっ…おわっ…とこおおぁ!?」
「お?」

 突き飛ばして飛びずさること1.5メートル、女子にはふさわしくない悲鳴を上げて見上げたそれは。
 背が高く、不機嫌オーラ全開な男。
 黒髪で少し筋肉質な男。
 狼を連想させるような強さを放つ男。

 そう、男。
 そいつは平然と一言。

「…うるさい。」

 …。……。………・・・。

 気配を感じたさやがわれに返り、おそるおそる後退し始める。

「あ、由良のスイッチ入っちゃ…」
「こんの…電柱男!ふざけんじゃないわよ!うるさいですって!?うちらの前に立ちふさがって邪魔してんのはどっちよ!ていうかさっさとどきなさい!男ほど気持ち悪い生物はいないっ…この世から消えろっ!この○○で×××め!…」

 きっとその時私の周りには火山の噴火のような赤い炎が見えたと思う。
 さやは完全に防御体制だ。
 私がうるさいと言われるのが嫌いなのを知っている。
 しかも男に言われるとは…
 しかし、その攻撃が通じない相手もいた。

「あーうるさいうるさい。おい。お前これなんとかしろ。耳がおかしくなる」
「そーいわれてもねえ…僕も結構…」
「おいおい、お前まで勘弁してくれよ…」
「うー…」

 幼さが残るが妙に響く声が聞こえた。
 電柱狼男のせいで気がつかなかったが、もう一人いたようだ。
 小柄の金髪、猫のパーカーにデニムというラフな格好がいたずらっ子のような雰囲気を醸し出している。

「「…誰?あんたら…」」

 双子レベルにぴったりと息が合った私達の質問に会話をやめる二人。

「ん?ああ、俺達は…」
「君の監視役だよっ!」