ピンク色の、可愛いお花が
ひらひらと舞い降りて
くらいアスファルトをピンクに染めた。
そして、
一番大きな木から
小さな花びらが
あたしの頭に、そっと落ちた。
「頭に落ちるなんて、すごく小さな確率だよ。君。」
そう言って一歩一歩、近づいてくる人。
きっと、先生かな?
スーツをちょっと着崩して、高そうな時計をつけてる。
「きっと、偶然じゃないと思うよ。ほら。」
あたしの頭の桜を手にとり、自分の手のひらに乗せて見せた。
綺麗な薄ピンク色の。桜を。
「あれ・・?二枚だ。」
「ね?偶然じゃない。」
偶然とか、偶然じゃないとか
何だか、哲学っぽくて
そのまま、意味なく微笑んだ。
「入学おめでとう。ようこそ、綿雪高校へ。」
「ありがとうございます。」
それはそれで、そのままで、
そのままずっと、入学式なんかそっちのけで
先生らしき人の笑う顔を思い出していた。