昔から、隣人の空がスキだった。
顔、声、性格、君の個性が。
私は憧れて、空のすること、やることの真似をした。
ずっと、ずっと。

きっかけは、隣人で同じ年とゆうこと。
私の母親と空の母親が中学からの仲良しだったとゆうこと。
私は『海』、君は『空』。
なんの繋がりかわからないが、親が『似ている』からとつけた名前。
年々大きくなるにつれて、私と空は顔も、声も、性格も似てきた。
母親達は、「空チャンと海チャンはそっくりで、双子みたいね」と嬉しそうだった。
でも、私が『空』になっていたから。
私は『空』に憧れて『偽者の空』になっていた。
髪形、服装、趣味、しゃべり方。
だから小学校でも、みんなに間違えられる。
それがすごく嬉しかった。『私が空』だ、と思えたから。
でも、大きく違ったのは『性別』。
本当は『私が男』で『空は女』。
『なんで男の子に産んだの!?』と、小さい頃はよく親に問い詰めたこともあった。
ソレからなのだろうか、『私』は女の子として育てられた。

「海、今日はプールだね」
「うん、でも入れないからなぁ」
「そっか、ごめんね」
「ううん、いいよ。しょうがないもん」

夏のプールは体が弱いとゆう設定で、毎年休んでいた。
だから、『か弱い女の子』とゆう印象がつき、結構男子からモテた。
でも、空と違うのが嫌で嫌でしょうがなかった。
頭の良かった空。空になろうと必死に勉強した。
どこに行っても、ずっと一緒だった。

「大宮」
「・・・」
「おい、無視すんなよ」
「え」

男子に肩をつかまれた。
クラスの中で一番背の高い男子。名前は確か伊本翔。

「大宮」
「あはは・・・私は圷海の方だよ」
「え、まじか・・・。悪ぃ」
「ううん」
「海ー!」
「あ!大宮ぁ!」
「え!伊本!」

空は伊本を見て、方向転換して走った。
伊本は「大宮ぁあ!」と怒鳴りながら空を追った。