夫から求められることのない生活にも慣れ、 自分自身も女であることを忘れていた。 私は母親。 かわいい息子に弁当を作り、送り出す。 夫とはそれなりに会話もし、それなりに仲良くしていた。 微妙なバランスを保ちつつ、自分達の生活を守っていた。 それはまるでシーソーの端と端に立っているような。 少しでも風が吹けばそのバランスは崩れる。 一生懸命バランスを保つことで、 自分自身と向き合うことから逃げていた。