どうしてここにいるのかは、
ちょっと思い出せそうもない。
そして私はどうやら、
この公園から出られないのだ。
ビルとビルの僅かな隙間から見える表通りは賑やかで、
楽しそうに笑い合う人々が通り過ぎていく。
けれど、
手をのばしても、
公園と外との繋ぎ目で透明な壁にぶつかるのだ。
ひんやりと冷たいその壁を、
私はきっと越える事は出来ないだろう。
そんな事ないわ、
希望を持って!
なんて、
気休めは無意味だ。
第一、
私はここを離れる気が無い。
なんだか途方もなく昔の事でよく覚えていないけれど、
私は人を待っているのだ。
それが誰なのか、
思い出す術を私は持ち合わせていないのだけれど。