視界が開けたら、
私はまたあの公園にいた。
頬を風が撫でて、
自分が泣いているのだと知った。
思い出しそうだったのに。
何か、大切な事。
何が現実かはわからないけれど、
此処に戻って来てしまったら、
私の記憶はまた深い霧の中に迷い込んだらしい。
まったく、
どうにも仕様がない。
電話の声を思い出す。
捜索願いだとか言っていた。
私の家にかかってきた電話だ。
だとすれば、
私は行方不明になっているのだろうか。
だから、
私はここに留まっているのか。
そうだとすると、
私の名前はアヤメ?
あまりにもピンと来なくて、
一人苦笑した。