「おまっ… 今の聞いてたのかよ」

「うん。あんたたち声でか過ぎ…」

聞きたくなくてもちゃんと聞こえてたよ…

「日和ちゃんは、理想の女性だよね。あたしから見ても… ホント適わないくらい…」

「なぁ、日柚、あれは…」

「ねぇ、寒くない?早く帰ろうよ。 あたし凍えそう」

その日の帰り道はどちらも一言も発しなかった。

聞きたかったけど、怖くて… 聞けなくて…