「いだっ!!」

容赦なく地面に体を叩きつけ思わず声が上がる。

マルコシアスはというと、事の成り行きについていけず屋根の上で固まっている。

「アンドラス、馬鹿なのか?」

初めてマルコシアスが喋った。

「うるっさいな!!ティアナに馬鹿呼ばわりされてびっくりしたんだよ!!じゃなきゃこの僕が無様に屋根から落ちるわけないだろう!!」

アンドラスは立ち上がりマルコシアスに食ってかかろうとしたが、小さい体に止められた。

「ダメなの!アンドラスはシルシルに謝るの!」

ティアナはアンドラスに飛びつき彼の仮面を剥がした。

「ティアナ!?何すんの!?こら!仮面返して!」

人間の少女に翻弄されるアンドラスにマルコシアスは口から炎を吐きながら笑った。

「何笑ってんのさ!」

「変わったな、アンドラス」

真っ黒い狼の悪魔は目を細め、ティアナを見つめた。