「アンドラス~!」

今、ティアナはかなり怒っている。

(シルシルに怪我させておいて何で平然と戦ってんのよ!)

彼女は足元に落ちていた石ころを拾うと、それを思い切りアンドラス目掛けて投げた。

「アンドラスの馬鹿~!シルシルに謝れ~!!」

シルヴェスター、バシンそれにサリエルは唖然とした。

まさかティアナが小石を投げて反撃するとは思いもしなかったのだ。

だが、アンドラスには当たらないだろう。

なんせ彼は悪魔なのだ。

人間の少女が投げる小石など、目をつぶっていても避けられるはずだ。

ティアナ以外、誰もがそう思っていた。

しかし、未来とは予測不可能な事態が度々起きるものである。

ティアナの大声に驚いたアンドラスが足を滑らせ屋根から落ち、あまつさえ投げた石ころが落下する彼の後ろ頭に命中した。