「はう!?シルシル怪我してる!」

ティアナがシルヴェスターの手をとった。

「大したことないです」

どうやら破壊された衝撃でテーブルの上に置いてあった果物ナイフが飛んできて、彼の手の甲を切ってしまったらしい。

「でも、ざっくり!血が!」

ざっくりと切れていて血が出ていると言いたいティアナ。

とりあえず自分が持っていたハンカチで止血する。

「こんな傷、すぐに治ります」

悪魔の治癒能力は高い。

この程度の傷ならば一時間もせず回復するだろう。

「ダメなの!怪我したらちゃんと止血して消毒するの!オセーが言ってた!」

彼女の教育係オセー。

文字や一般的学術知識の他にも、彼は教え子に自分の持っている人間の知識を片っ端から教え込んだようだ。

ティアナはシルヴェスターの手にハンカチを巻くと、厳しい表情で屋根の上を睨みつけた。