生まれてこの方町の外に出たことがないティアナ。

遠く広がる世界を見つめ、羨望する。

(私もいつか町の外に行ってみたい…)

だがアンドラスがそう簡単に許してはくれないだろう。

この町での自由は認められているが、なぜか出ることを良しとしない彼。

ティアナはアンドラスがくつろいでいる家を見た。

赤い屋根に黄色い壁のその家は他のどの家よりも目立つ。

「アンドラスも来れば良かったのに…」

いつもの「面倒臭い」の一言で彼は参加を拒否した。

しばらくぼんやりと家を眺めていると、白っぽい物体が家の窓から飛び出してきたのがわかった。

「あれって…アンドラス?」

小さくてはっきりとしないがアンドラス以外に生き物はいない。

「ねえ、シルシル。あれってアンドラスだよね?」

とりあえず自分よりも視力が良いシルヴェスターに尋ねる。

「そうです。どうしたのでしょうか…。剣を持っていますが」