残された者達はアンドラスの死体を教会に持っていった。

ある程度、血を拭ってからあの小部屋に運び込む。

そしてサリエルの邪眼で、ティアナと同様に氷の棺に閉じ込めた。

前世のティアナの隣に安置されるアンドラス。

ティアナの記憶を取り戻したアウレリアは、自分の前の体が今なお存在していることに驚いた。

「こうなったからには、二人まとめて丁重に埋葬して差し上げた方がいいでしょうね」

サリエルの独り言にヴォラクが割って入った。

「ねぇ、アンドラスを凍らせた意味ってあるの~?」

「いえ、あまり。ただ…ティアナの側に寝かせてあげたかっただけです」

サリエルの自己満足。

アウレリアは心の中で彼に感謝した。

それから、部屋に置かれていた前世の自分のゆかりの品を見る。

「これ、全部シルシルが持ってきたの…?」

「はい。ティアナ様を弔うために」

アウレリアは自分の棺に立て掛けてあったアンドラスの絵を持ち上げた。

「アンドラスに見られちゃったかな…?」

絵の中の彼が綺麗な瞳でアウレリアを見つめる。

「この瞳が…私を取り戻させてくれた…」