「何が『天使』よ!ライナルト、この子どこの迷子?一緒にお家を探してきてあげた方がいいんじゃない!?」

馬鹿にしたように嘲笑う。

「ティアナの出身地はちゃんと知ってるよ。彼女の了承を得て俺が連れてきたんだ」

ライナルトは嫌みもさらりと受け流し、愛しい天使の肩を抱いた。

「今日から彼女は俺の家で共に暮らす。いずれは…夫婦になるつもりだよ」

はっきりと宣言した彼に、ティアナは無意識に心臓を高鳴らせた。

嬉しいような、恥ずかしいような。

少しくすぐったい感情。

(アンドラスといたら、結婚なんて夢のまた夢なんだろうな…)

ふと思い出してしまった大好きな声。



――ティアナ



包み込むような安心をくれるアンドラスの声。

「ティアナ、これから俺の家に来てほしい。そこでゆっくり話そう?」

ライナルトの声に現実に引き戻された。

「では邪魔者は消えますか。退散するぞ!姉さん達よ!」

ライナルトの友は姉と呼んだ二人の女性を引っ張って行ってしまった。