「やめてくれる?不愉快だよ!」

アンドラスはシルヴェスターに覆いかぶさる変態悪魔に切っ先を向けた。

「ハァ…甘美な血だ…。其方は我にとびきりの恍惚をくれる。アンドラスに盗られたのが惜しい…」

「ねえ?そこの変態。僕の話聞いてる?」

アンドラスは剣をひょいと軽く振り、あっさりとベリアルの首を切り落とした。

「はい、終了。これ以上シルヴェスターをイジメるのはお断りだよ」

ゴロゴロと地に転がった首が、つまらなそうにフンッと鼻を鳴らす。

「もう少しくらい楽しませてくれても良かったものを…」

「馬鹿言わないでよね。貴様とのじゃれあいもこれで終わりさ。シルヴェスター、僕の部下の身体集めるから、手伝って」

「はい」


(主よ…ありがとう、ございます)


ベリアルに切り刻まれた部下の身体。

それらを拾いながら、シルヴェスターは再び悪夢から救い出してくれたアンドラスに、心の中で繰り返し感謝した。