「これは…地図?」
アンドラスが覗き込む。
「シャッテンブルクの絵だよ!」
嬉しくて興奮するティアナ。
その紙には上空から見たシャッテンブルクが描かれていた。
建物一つ一つが細かく表され、解説として家の隣に「鍛冶屋」、「靴職人」、「肉屋」、「救貧院」などの文字が記されている。
細かく正確な町の地図。
ティアナは掃除のことなどすっかり忘れ、その掘り出し物に見入ってしまった。
「ティアナ様、綺麗になりましたので絵を持ってきますが、いいでしょうか?」
シルヴェスターに声をかけられて我に返る。
「うん!あの、シルシル。この地図も飾っていい?」
シャッテンブルクの地図を見せながら上目遣い。
「ティアナ様のお好きなように」
「やった!」
大喜びで笑顔を振り撒くティアナ。
「飾るのでしたら、額を探してきましょう」
シルヴェスターの申し出にティアナはしばし考えた。
「う~、やっぱり飾るのやめようかな…」
地図を見つめ悩む。
(額に入れちゃうと、何か手が届かないみたいで…つまんない…)