「え?おじいちゃんになるのは嫌?」

何気ない疑問。

アンドラスは老婦人の絵を睨みつけて言った。


「だって、年寄りって面倒臭そう」


この回答にティアナの胸がズキリと痛む。

(なら、私もおばあちゃんになったら…面倒臭い…?)

彼にとっていらない存在になってしまうのだろうか。

(そんなの、嫌…)

しかし、いずれ少女もこの絵画の女性と同じようになる日が来るのだ。


――捨てられちゃう?


大人になった将来の自分がいつまでもアンドラスと共にいるとは限らない。

途中で飽きて捨てられてしまうかもしれない。

(そしたら、私はどうすれば…)

急に未来が不安になった。

持っていた絵を隠すようにそっと長持ちに戻す。

見ていると嫌なことを考えてしまうため、視界から遠ざけたかったのだ。

「あれ?上手く入らない…」

彼女は一度、綺麗に巻かれた紙を出してから絵をしまった。

ついでにその紙も広げてみる。

「わあ…これ!」

ティアナの沈んでいた気持ちが一気に浮上した。